
- 価値観のズレは、あって当然です。交際を苦しくするのはズレそのものより、言えずに溜めることや、ぶつかる形の伝え方のほうです。
- 「合わない」と「話し合えない」を分けて考えます。考えが違っても落ち着いて話し合える相手となら、すり合わせの余地があります。
- 話すときは「事実→気持ち→希望→相手の希望→すり合わせ」の順に。相手を評価する言葉ではなく、自分の側の言葉から始めます。
- 我慢が続いているサインに気づいたら、一人で抱えないでください。言いにくいことはカウンセラーと先に整理できます。IBJ(日本結婚相談所連盟)のルールでは、交際を終えるときもカウンセラーを通します。
交際中に苦しくなるのは、価値観が合わないからですか?
結論から言うと、価値観のズレがあること自体は、交際がうまくいっていないサインではありません。育った家庭も、働き方も、休日の使い方も違う二人に、ズレがないほうが不自然です。苦しさの多くは、ズレを言葉にできないまま溜めていくことや、伝え方がぶつかる形になってしまうことから生まれます。
ズレが見えてきたのは、交際が進んだから
交際が進むと、お見合いの1時間前後では見えなかった相手の習慣や考え方が、少しずつ見えてきます。連絡の間隔、お店の選び方、休日の予定の立て方。どれも、その人がこれまでの暮らしの中で自然に身につけてきたものです。
ズレが見えたとき、「この人を選んだのは間違いだったのでは」と自分を責めたくなるかもしれません。けれど、ズレが見えるのは、相手を具体的に知り始めた証拠でもあります。相性は条件だけで決まるものではなく、関わり方の中で育っていくもの、という考え方は選択理論心理学で考える相性の記事で詳しく書いています。
苦しさは、ズレを「言えない」ところから生まれる
ズレそのものより苦しいのは、「これを言ったら嫌われるかもしれない」「細かい人だと思われたくない」と、気になったことを飲み込み続ける状態です。飲み込んだ違和感は消えずに残り、次に同じ場面が来たとき、前より大きく感じられます。
もう一つは、言えたとしても、ぶつかる形の伝え方になってしまう場合です。「普通はこうでしょう」と一般論で押したり、その場で結論を迫ったりすると、相手は中身より言い方に反応してしまいます。この記事では、ズレが出たときの「扱い方」に絞ってお伝えします。真剣交際で何を話し合うかのテーマ一覧は、真剣交際で話し合うことのチェックリストにまとめています。
仮交際と真剣交際では、向き合う深さが変わる
IBJの公式コラム「仮交際(プレ交際)」では、4〜5回目のデートが、結婚について具体的な話をしながら真剣交際に進むかどうかを見極めるタイミングとされています。仮交際のうちは、ズレを解決するより、気づいて、伝え方を試してみる段階と考えると気持ちが楽になります。
一人のお相手に集中する真剣交際に入ったら、結婚生活を具体的に思い描きながら、見えてきたズレを二人ですり合わせていきます。
ズレは「関係が壊れているサイン」ではなく、「相手を具体的に知り始めたサイン」です。見直したいのはズレの有無ではなく、ズレが出たときの扱い方のほうです。
価値観のズレは、どんな場面で出やすい?
交際中にズレが表に出やすいのは、連絡の頻度、お金の使い方、休日の過ごし方、家族との距離、仕事の優先度の5つの場面です。どれも「どちらが正しいか」ではなく、それぞれが大切にしているものの違いから生まれます。背景にある気持ちを想像できると、責める話ではなく、希望を伝え合う話に変えられます。
ズレが出やすい5つの場面
| 場面 | 背景にありそうな欲求の例 | 話し合いの切り出し方 |
|---|---|---|
| 連絡の頻度 (毎日やり取りしたい/用件があるときだけでいい) | つながりを感じていたい(愛・所属)/自分のペースを守りたい(自由) | 「一日の終わりに一言やり取りできると、安心するほうなんです。◯◯さんは、どのくらいのペースだと楽ですか」 |
| お金の使い方 (お店の価格帯、何にお金をかけたいか) | 先の暮らしに備えて安心したい(生存)/今の時間や体験を楽しみたい(楽しみ) | 「お店選びのことで、少し相談させてください。私は気軽なお店のほうが落ち着くのですが、◯◯さんはどうですか」 |
| 休日の過ごし方 (予定を入れたい/ゆっくり休みたい) | 新しいことを一緒に楽しみたい(楽しみ)/ひとりの時間で整えたい(自由) | 「休みの日は、午前中はゆっくりしたいほうなんです。◯◯さんの理想の休日も聞いてみたいです」 |
| 家族との距離 (実家とのやり取りの頻度、家族の話題の多さ) | 家族とのつながりを大切にしたい(愛・所属)/二人のことは二人で決めたい(自由) | 「うちは家族とこのくらいの距離感なのですが、◯◯さんのご家族はどんな感じですか」 |
| 仕事の優先度 (繁忙期に会えない、急な予定変更) | 仕事で成果を出したい、認められたい(力)/一緒に過ごす時間で安心したい(愛・所属) | 「私は月末に仕事が立て込みやすいんです。◯◯さんの忙しい時期はいつ頃ですか。その時期の連絡や会い方を、先に相談しておけると安心です」 |
切り出し方の例は、どれも「自分はこうです」を先に置いてから、相手に聞く形にしています。お金の感覚の違いがデートのお会計で表れたときの考え方は、婚活のデート代は誰が払う?で詳しく書いています。
表の「欲求」は、相手を決めつけるためのものではない
表のかっこ書きは、選択理論心理学でいう5つの基本的欲求(生存/愛・所属/力/自由/楽しみ)に当てはめた一例です。同じ「毎日連絡したい」でも、背景にある気持ちは人によって違います。相手の気持ちを言い当てるためのものではなく、「こういう理由もあるかもしれない」と想像を一つ増やすための手がかりです。
どの欲求が強くても弱くても、そこに良し悪しはありません。自分がどの欲求を大切にしているかを先に知っておきたい方には、「5つの基本的欲求」を言葉にする方法が手がかりになります。
ズレに気づいたら、まず自分の側の理由を言葉にする
ズレを感じたとき、最初に考えたくなるのは「相手はなぜそうなのか」です。けれど、先に言葉にしておきたいのは「自分はなぜそれが気になるのか」のほうです。例えば、返信が半日来ないと落ち着かないのは、相手を疑っているからではなく、つながりを感じていたい気持ちが強いからかもしれません。
自分の側の理由が言葉になっていると、相手を評価する言葉を使わずに済みます。「返信が遅い」は相手への指摘ですが、「やり取りがあると安心するほうなんです」は自分の説明です。伝えている中身は同じでも、受け取る側の構え方は大きく変わります。
「合わない」と「話し合えない」は、何が違う?
「合わない」は考え方や希望の中身が違うこと、「話し合えない」はその違いを落ち着いて扱えないことです。中身が違っても話し合える相手となら、すり合わせの余地は十分にあります。反対に、中身が近くても話し合いにならない関係は、結婚生活で新しい違いが出てきたときに苦しくなりやすいと、私は考えています。
「合わない」は中身、「話し合えない」は関わり方の問題
休日の過ごし方が違う、お金をかけたいところが違う。こうした中身の違いは、結婚してからも形を変えて何度も出てきます。大切なのは違いをゼロにすることではなく、違いが出たときに二人でどう扱えるかです。
一方で、希望を伝えると不機嫌になって話が終わる、こちらの話を最後まで聞かずに結論を出されてしまう、という状態が続くなら、それは中身ではなく関わり方の問題です。「価値観が合わない」とひとまとめにせず、どちらの問題なのかを分けて考えると、次に何をすればいいかが見えてきます。
話し合える相手かどうかを見る目安
- 違う意見を伝えても、まず最後まで聞いてくれる
- 「合わせます」だけでなく、自分の希望も言葉にして返してくれる
- 結論が出なくても、「また続きを話しましょう」と言える
- 話し合いのあとも、態度や連絡の温度が大きく変わらない
ただし、一度の様子だけで判断しないでください。緊張や遠慮から、最初はうまく希望を言えない人もいます。二度、三度と話す中で少しずつ言葉が増えていくなら、それも話し合える関係に近づいているしるしです。
一度の話し合いで、結論を出さなくていい
ズレについて話すとき、その場で「どちらにするか」を決めようとすると、話し合いは交渉のようになります。最初の一回は、お互いの希望と理由を知るだけで十分です。持ち帰って考え、次に会ったときに続きを話す。この往復ができること自体が、話し合える関係の表れです。
とはいえ、先送りを続けてよいわけではありません。IBJのルールでは交際期間はお見合い日から3ヵ月と決まっていて、延長を希望するときはカウンセラーへの相談が必要です。期限があるからこそ、気になったことは小さいうちに言葉にしておくほうが、お互いの時間を守ることにもつながります。
「価値観が合わない」と感じたら、紙に二つの欄を作ってみてください。「考えの中身が違うこと」と「話し合いにならないこと」。二つめの欄ばかりが埋まっていくなら、中身より先に、関わり方をカウンセラーと見直すタイミングです。
ズレを感じたら、どう話せばいい?
話すときは「事実→自分の気持ち→希望→相手の希望を聞く→すり合わせ」の順番がおすすめです。最初の3つで自分の側を伝え、4つめで相手の側を聞き、最後に二人で案を作ります。順番があるだけで、責める話にも、我慢の話にもなりにくくなります。
- 事実:起きたことを、評価を入れずに言う
- 自分の気持ち:それで自分がどう感じたかを、短い言葉で言う
- 希望:どうなると嬉しいかを、お願いの形で言う
- 相手の希望を聞く:相手の事情と希望を、最後まで聞く
- すり合わせ:二人とも無理のない案を、一緒に作る
①事実・②気持ち・③希望——自分の側を先に伝える
例えば、デートの時間が前日に変わることが続いた場面なら、「この2回、前日に時間が変わりましたよね(事実)。予定を組み直すのが少し大変で、残念な気持ちになりました(気持ち)。変わりそうなときは、分かった時点で一言もらえると助かります(希望)」という形です。
ポイントは、事実の部分に「いつも」「また」を入れないことです。「いつも予定を変える」は事実ではなく評価なので、相手は中身より言葉に反論したくなります。気持ちは「残念だった」「不安になった」「困った」くらいの短い言葉で十分です。
④相手の希望を聞く——「なぜ」より「どんなとき」
自分の側を伝えたら、次は相手の番です。ここで「なぜそうなるんですか」と聞くと、問い詰める響きになりがちです。「どんなときにそうなりやすいですか」「◯◯さんとしては、どうだと楽ですか」と聞くと、相手は事情と希望を話しやすくなります。
聞いている間は、反論を用意しながら聞かないようにします。相手が話し終えたら「つまり、〜ということですね」と一度まとめて返すと、相手は分かってもらえたと感じ、次の段階に進みやすくなります。
⑤すり合わせ——「どちらか」ではなく、三つめの案を探す
すり合わせは、どちらかが全面的に折れることではありません。例えば連絡の頻度なら、「平日は夜に一言だけ、会う日の前はしっかり連絡する」のように、二人の希望の間に三つめの案を作れることがあります。
案が決まったら、「2週間くらい試してみて、また話しましょう」と見直しの時期も決めておくと安心です。一度決めたら変えられないと思うと、どちらも慎重になりすぎます。試してみて、合わなければ直す。そのくらいの軽さで十分です。
避けたい話し方と、話す場所
NG「普通は」「みんなは」で押す
一般論を持ち出すと、相手は「自分が普通ではない」と言われたように感じます。伝えたいのは世間の基準ではなく、あなた自身の希望のはずです。
NG込み入った話を、LINEの文字だけで済ませる
文字だけでは声の調子や表情が伝わらず、同じ文でも冷たく読めてしまいます。LINEでは「今度会ったときに、少し相談させてください」と予告だけして、中身は会って話します。
NGその場で白黒をつけようとする
「結局どっちなの」と答えを迫られると、相手は考える前に身構えます。結論は次回に持ち越してよい、と先に伝えておくと、お互いに本音を出しやすくなります。
話す場所は、周りを気にせず落ち着いて話せる席を選びます。六本木や港区で仕事帰りに会うなら、にぎやかなお店より、静かに話せるお店やホテルのラウンジのほうが向いています。終わりの時間に追われる日は避け、時間に余裕のある日を選んでください。
言いにくいことを、先に言葉に。
交際中のズレは、一人で抱えるほど大きく感じられます。
30分の無料カウンセリングで、交際中の相談の受け方や活動の進め方について、気になることをお聞きください。
対面(六本木)またはZoom対応・無理な勧誘は一切ありません
我慢しすぎていませんか?——気づいておきたいサイン
歩み寄りと我慢は似ていますが、別のものです。歩み寄りは相手の希望を知ったうえで自分で選んだ譲り方で、我慢は言えないまま引き受けている状態です。我慢が続いているサインに気づいたら、交際を続けるかどうかを決める前に、まず自分の気持ちを整理するところから始めます。
歩み寄りと我慢は、どこが違う?
見分ける目安は、「自分で選んだ」と言えるかどうかです。相手の事情を聞いたうえで「この点は合わせたい」と思えたなら、それは歩み寄りです。反対に、「言っても仕方がない」「言ったら終わってしまう」と感じて引き受けているなら、我慢に近い状態です。
一緒に暮らし始めると、同じ場面に出会う回数は増えていきます。交際中に言えなかったことを、回数が増えてから言い出すのは、今よりも難しくなりがちです。だからこそ、交際中の小さな我慢に早めに気づいておくことに意味があります。
我慢が続いているときに出やすいサイン
- 会う前日に、楽しみより「また気をつかう」という気持ちが先に来る
- 気になったことを、相手には言わず、友人に話したりメモに書いたりするだけで終えている
- 自分の希望を言う前に、「どうせ」と心の中で打ち消している
- デートのあと、ほっとするより、どっと疲れが出る
- 相手に合わせるために、自分の大事な予定を黙って動かしている
一つ当てはまったからといって、交際をやめるべきという意味ではありません。サインは「ここに、まだ言葉にしていない気持ちがある」という知らせです。どの場面で、何を飲み込んだのかを書き出してみると、話し合いたいことが見えてきます。
身体のほうが、先に気づいていることもある
パーソナルトレーナーとして24年、多くの方の身体と向き合ってきた現場では、緊張が続くと呼吸が浅くなり、肩に力が入って姿勢が縮みやすいという傾向を見てきました。頭では「大丈夫」と思っていても、身体のほうが先に構えていることがあります。
デートの帰り道に、肩が上がっていないか、呼吸が浅くなっていないかを一度だけ確かめてみてください。思っていた以上に気を張っていたと気づくことがあります。気持ちの落ち込みや体の不調が長く続くときは、無理をせず、専門の窓口に相談してください。
我慢に気づいたときに大切なのは、すぐに「続けるか、やめるか」を決めることではありません。まず、飲み込んだ気持ちを言葉にすること。言葉になれば、伝えるのか、伝えずに手放すのかを、自分で選べるようになります。
言いにくいことは、カウンセラーとどう整理する?
相手に直接は言いにくいことこそ、先にカウンセラーと整理する価値があります。何が気になっているのか、どう伝えるか、そもそも伝えるかどうかを、話す前に一緒に言葉にできます。考えた結果、交際を終えると決めた場合も、IBJのルールではカウンセラーを通して伝えます。
話す前に、気持ちを言葉にする
「なんとなく苦しい」のままでは、相手にも伝えようがありません。カウンセラーとの面談やメッセージで、どの場面で、何が、どう気になったのかを順に話していくと、自分の側の理由が少しずつ言葉になっていきます。先ほどの5つの手順のうち、①事実・②気持ち・③希望を一緒に組み立てるイメージです。
IBJのルールでは、仮交際が始まったら、IBJのシステムからデートの振り返りをレポートします。振り返るときに、気になった場面を自分用にも一言書き留めておくと、カウンセラーと話すときの材料になります。言葉にした結果、「これは伝えたい」と思うこともあれば、「相手に言うほどではなかった」と気づくこともあります。
交際を終えると決めたときも、カウンセラーを通す
話し合いを重ねても、どうしても合わないと感じることはあります。IBJのルールでは、交際終了のお断りは担当カウンセラーを通じて行い、終了後は速やかに連絡先を削除し、終了したお相手に直接連絡をとることは厳禁とされています。IBJの公式コラムでも、真剣交際を終えるときは結婚相談所を通すと説明されています。
直接言わずに済む仕組みは、冷たくするためではなく、お互いが感情的なやり取りで傷つかないためのものです。カウンセラーへの伝え方や理由のまとめ方は、お見合い・交際の断り方で詳しく書いています。
グレースマリアージュ東京での相談の受け方
定期面談はスタンダードプランで毎月1回、ライトプランで2ヶ月に1回です。
面談の間に生まれた迷いは、どちらのプランでもLINE・メールでご相談いただけます。お断りのやり取りも、当社が間に入ります。「言いにくいから、このまま黙っていよう」となる前に、気になったことを一行だけでも送っていただければ、そこから一緒に整理していきます。
よくあるご質問
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