
- 条件は「会う人を決める入口」、相性は「関わり方」で育つもの。条件がそろっていても、日々のやり取りがかみ合わなければ関係は苦しくなります。
- 選択理論心理学では、人は自分の行動を自分で選んでいると考えます。相手を思い通りに変えることはできず、選べるのは自分の関わり方です。
- 欲求の強さの組み合わせから、ズレやすい場面が見えてきます。自由の欲求が強い人と愛・所属の欲求が強い人は、連絡の頻度や休日の過ごし方でズレやすい。どちらが正しいという話ではありません。
- 見るのは「関係を育てる習慣」と「壊す習慣」のどちらが出やすいか。お見合いなら聞き方、仮交際なら予定の決め方や食い違いへの反応が手がかりになります。
- その物差しは、自分にも向けて使う。相手を採点する道具ではなく、自分のふるまいを選び直す手がかりです。
条件が合うのに、うまくいかないのはなぜ?
結論から言うと、条件は「誰と会うか」を決める入口であって、一緒にいて心地よいかどうかまでは教えてくれないからです。相性は出会った時点で決まっているものではなく、会ってからの関わり方の中で育っていきます。
条件がすべてそろっていても、話し方や予定の決め方がかみ合わなければ、関係は少しずつ苦しくなります。反対に、条件の一部が希望と違っても、やり取りが心地よい相手とは関係が深まっていくことがあります。
条件でわかること、会ってみないとわからないこと
プロフィールに並ぶ年齢や住まい、仕事、家族構成、結婚後の希望は、お相手を探すうえで欠かせない情報です。条件があるから、暮らしの前提が大きく違う人と会わずに済みます。
一方で、プロフィールからは読み取れないこともあります。話を最後まで聞いてくれるか。意見が違ったときに、どんな言葉を選ぶか。予定が変わったときに、どう伝えてくるか。こうした接し方は、会ってやり取りを重ねて、はじめて見えてきます。
「条件は合うのに苦しい」の正体
例えば、お互いの希望どおりの相手なのに、会うたびに少し疲れてしまう、という場面を考えてみます。相手に悪気はなく、自分に落ち度があるわけでもない。それでも苦しいのは、条件ではなく、日々のやり取りの形がかみ合っていないからかもしれません。
連絡の取り方、行き先の決め方、不満の伝え方。一つひとつは小さなことですが、結婚生活はこうした小さなやり取りの積み重ねです。だから相性を考えるときは、条件の一致と同じくらい、日々のやり取りに目を向ける必要があります。
この記事で扱うこと
条件そのものの整理のしかたは、婚活の条件設定と優先順位の決め方で詳しくまとめています。この記事では、その先にある「会ってからの相性」を、選択理論心理学という考え方を手がかりに整理します。
選択理論心理学では、人の行動をどう考える?
選択理論心理学では、人の行動は外からの刺激で決まるのではなく、自分の内側にある欲求を満たすために、その人自身が選んでいると考えます。だからこそ、他人を思い通りに変えることはできません。相性を考えるときも、出発点は「相手をどう変えるか」ではなく「自分がどう関わるか」です。
「人は自分の行動を選んでいる」という考え方
選択理論心理学は、ウィリアム・グラッサー博士が提唱した考え方です。日々のふるまいを「本人が選んだもの」として捉えるところに、この考え方の土台があります。
例えば、相手からの返信が遅くて不安になった場面。「相手のせいで不安にさせられた」と感じやすいところですが、この考え方では、不安を覚えたあとにどう振る舞うか(責めるのか、待つのか、気持ちを言葉にして伝えるのか)は、自分で選んでいると捉えます。
「他人を思い通りに変えることはできない」が出発点
自分の行動を選んでいるのが自分なら、相手の行動を選んでいるのは相手です。どれほど筋の通ったことを言っても、行動を変えるかどうかは、最後は相手が決めます。
これは突き放した話ではありません。変えられないものを変えようとして消耗するのをやめ、自分が選べることに力を使う、という考え方です。婚活に置き換えるなら、「この人を理想に近づけられるか」ではなく、「この人と、お互いに心地よい関わり方を選び合えるか」を見ることになります。
トレーニングの現場で感じてきたこと
私(岡本)はパーソナルトレーナーとして24年、多くの方の体づくりに伴走してきました。その現場で見てきた傾向として、「言われたからやる」目標より、ご本人が「これをやる」と選んだ目標のほうが、長く続きやすいと感じています。
トレーナーにできるのは、選びやすい状況を整え、選んだことを支えるところまでです。結婚相手との関係も同じで、相手を動かそうとするより、お互いが自分から選びたくなる関係をつくれるかどうか。そこに相性の中身があると、私は考えています。
相手の行動を選ぶのは相手、自分の行動を選ぶのは自分。相性は「相手を変えること」ではなく、「お互いの関わり方」で育てるものとして考えます。
相性を「5つの基本的欲求」の組み合わせで考えると?
選択理論心理学では、「生存」「愛・所属」「力」「自由」「楽しみ」の5つを、誰もが持っている基本的欲求と考えます。どの欲求がどのくらい強いかは、一人ひとり異なります。二人の組み合わせとして眺めると、どんな場面でズレが出やすいかが見えてきます。大切なのは、違いがあるかどうかより、違いをお互いにどう扱えるかです。
5つの基本的欲求を、ひとことで
- 生存:安全や健康、暮らしの安定を求める欲求
- 愛・所属:大切な人とつながり、一緒にいたいと願う欲求
- 力:認められたい、成し遂げたい、役に立ちたいという欲求
- 自由:自分のことは自分で決めたい、縛られたくないという欲求
- 楽しみ:新しいことを知り、学び、面白がりたいという欲求
それぞれの意味や結婚生活での表れ方、自分の強さを確かめるセルフワークは、自分の「5つの基本的欲求」を言葉にする方法にまとめています。ここでは、二人の組み合わせとして見たときの話に絞ります。
ズレが出やすい組み合わせの例
例えば、自由の欲求が強い人と、愛・所属の欲求が強い人が交際する場面を考えてみます。愛・所属が強い人にとって、こまめな連絡や一緒に過ごす休日は、つながりを確かめられる大切な時間です。一方、自由が強い人にとっては、返信のタイミングや休日の使い方を自分で決められることが、心の落ち着きにつながります。
このとき、片方は「連絡が少ないのは、気持ちが薄いからでは」と不安になり、もう片方は「自分のペースで返したいのに、急かされている」と感じるかもしれません。どちらかが間違っているわけではなく、満たしたい欲求が違うだけです。ここで相手を責めるか、違いを言葉にして話し合うかで、その後の関係は大きく変わります。
似ているか違うかより、違いの扱い方
欲求の強さが似ている二人は、説明しなくても分かり合える場面が多いかもしれません。一方で、違う二人には、自分にない視点を相手からもらえるという良さもあります。似ているから合う、違うから合わない、とは単純に言えません。
相性を分けるのは、違いが見えたときの扱い方です。自分の欲求を押し通すのでも、我慢して飲み込むのでもなく、「私はこうだと落ち着く。あなたはどう?」と差し出し合えるかどうか。その扱い方を具体的な行動の形で整理したものが、次に紹介する「7つの習慣」です。
関係を育てる習慣・壊す習慣とは?
選択理論心理学では、人間関係を近づける「身につけたい7つの習慣」と、遠ざける「致命的な7つの習慣」が整理されています。前者は相手が自分で選ぶことを支える接し方、後者は相手を外から動かそうとする接し方です。相性を見るときは、この2つのどちらが出やすい人か、そして自分はどうかに目を向けます。
身につけたい7つの習慣
関係を近づける7つの習慣は、傾聴する・支援する・励ます・尊敬する・信頼する・受容する・意見の違いについて交渉する、です。婚活の場面では、例えば次のような姿として表れます。
- 傾聴する:話を途中で遮らず、最後まで聞いてから自分の話をする
- 支援する:相手の都合や疲れ具合を気にかけ、無理のない予定を一緒に考える
- 励ます:相手が打ち込んでいることに関心を向け、前向きな言葉をかける
- 尊敬する:自分と違う仕事や考え方にも、敬意を持って耳を傾ける
- 信頼する:返信の間隔や予定の事情を、疑う前にまず受け止める
- 受容する:好みや価値観の違いを、「そういう人なんだ」といったん受け入れる
- 意見の違いについて交渉する:どちらかが我慢するのではなく、二人とも納得できる形を話し合う
致命的な7つの習慣
関係を遠ざける7つの習慣は、批判する・責める・文句を言う・ガミガミ言う・脅す・罰する・褒美で釣る、です。どれも相手の行動を外から変えようとするもので、婚活では次のような小さな形で顔を出します。
NG批判する・責める
お店の選び方や遅れた理由を、事情を聞く前に否定する。「普通は〜でしょう」という言い方も、このひとつです。
NG文句を言う・ガミガミ言う
予定の変更や返信の遅さを、会うたびに持ち出す。一度伝えれば済むことを、何度も繰り返してしまう状態です。
NG脅す・罰する
「連絡が遅いなら、もう会わない」と関係の終わりをちらつかせる。不満があると返信をわざと遅らせ、態度で思い知らせようとする。
NG褒美で釣る
「〜してくれたら、次は〜してあげる」と、相手を条件つきで動かそうとする。やさしく見えても、相手の選択を外から操ろうとしている点では同じです。
習慣は、相手を見る物差しであり、自分を映す鏡
7つの習慣は、相手を採点するための一覧ではありません。緊張していたり疲れていたりすれば、誰でも一度くらいは致命的な習慣が出てしまうものです。自分自身も例外ではありません。
見たいのは、一度の言動ではなく「出やすさ」と「その後」です。きつい言い方をしてしまったあと、自分で気づいて言い直せるか。その姿は、身につけたい習慣を選び直せる人かどうかを教えてくれます。そしてこの物差しは、そのまま自分にも当てはめて使うものです。
相性は、欲求が似ているかどうかだけでは決まりません。違いが出たときに、身につけたい習慣を選べる二人かどうか。そこに、関係が育つかどうかの分かれ目があります。
お見合い・仮交際では、相性のどこを見ればいい?
見るのはプロフィールの項目の確認ではなく、関わり方の傾向です。お見合いでは話の聞き方と、好みや意見が違ったときの反応。仮交際では予定の決め方、連絡の取り方、小さな食い違いへの向き合い方に表れます。一度で決めつけず、回を重ねて確かめるのが基本です。
お見合いの1時間で見えること
IBJの「お見合いと交際のルール&マナー」では、お見合いは1時間前後で切り上げるのが目安とされています。限られた時間なので、見られるのはその人の接し方の入口までです。質問に答えたあと、こちらにも問いを返してくれるか。好みが違う話題になったとき、否定から入らずに受け止めてくれるか。
ただし、お見合いは初対面で、しかも結婚を前提にした場です。平日の仕事帰りにホテルのラウンジで会うようなときは、仕事の緊張を残したまま席につくこともあるでしょう。トレーナーとして体の状態を見てきた経験から言えば、人は緊張すると呼吸が浅くなり、姿勢が縮こまりがちです。表情が硬い、言葉が少ないといった様子は、緊張の表れかもしれません。硬さそのものより、話を聞こうとする姿勢があるかを見てください。
仮交際で見えること
仮交際は、お見合いで良い印象を持った二人が、真剣交際に向けてデートを重ねる期間です。IBJの公式コラムでは、恋人同士ではなく「お友達の関係」と説明されています。あわせて、週に1回は会うことが推奨され、4〜5回目のデートが真剣交際に進むかどうかを見極めるタイミングとされています。
回数を重ねると、お見合いでは見えなかった一面が表れてきます。行き先をどう決めるか、予定が変わったときにどう伝えるか、疲れているときにどんな言葉を使うか。真剣交際へ進むまでの流れそのものは、仮交際から真剣交際への進め方で詳しくお伝えしています。
相性を見る観察ポイント
お見合いと仮交際で見ておきたい点を、7つの習慣にそって表にまとめました。右の列に当てはまることが一度あっただけで判断せず、回を重ねても続くかどうかを見てください。
| 場面 | 育てる習慣が出ているサイン | 気になるサイン |
|---|---|---|
| 会話(お見合い) | 最後まで聞いてから話す。問いを返してくれる(傾聴する) | 話を遮る。自分の話だけが続く |
| 好みや意見が違ったとき | 「そういう考え方もあるんですね」と受け止める(受容する・尊敬する) | 「それはおかしい」と否定から入る(批判する) |
| 仕事や打ち込んでいることの話 | 関心を持って聞き、前向きな言葉を返す(励ます) | 誰かと比べる。軽く扱う |
| 行き先や予定の決め方 | 候補を出し合い、お互いの都合を確かめる(支援する・交渉する) | 一方的に決める。相手任せが続く |
| 連絡のペース | 自分の希望を伝え、相手の希望も聞く(交渉する) | 遅さを責める。わざと返信を遅らせる(責める・罰する) |
| 予定の変更や遅れ | 事情を聞いてから受け止める(信頼する) | 同じことを何度も持ち出す(文句を言う・ガミガミ言う) |
| お店の人など第三者への接し方 | 丁寧で、敬意をもって接している(尊敬する) | 強い口調で責める。不満を繰り返す(責める・文句を言う) |
表の右側に近いふるまいが、自分の側に出ていなかったかも、あわせて振り返ってみてください。相性は二人でつくるものなので、観察の目は自分にも向けておくと公平です。
振り返りのメモは3行で
IBJでは、仮交際が始まったら、IBJのシステムからデートの振り返りをレポートする仕組みがあります。その振り返りとは別に、自分用のメモを3行だけ残しておくのもおすすめです。1行目に相手に見えた育てる習慣、2行目に気になった場面、3行目にその場面での自分のふるまい。
3行目があることで、メモは相手の採点表ではなく、二人の関係の記録になります。数回分がたまると、「この人とは、違いが出ても話し合える」のか、「同じところで毎回つまずく」のかが、感覚ではなく言葉で見えてきます。
相性の迷いを、言葉にするところから
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相性を育てるために、自分にできることは?
相手は変えられなくても、自分の関わり方は選べます。致命的な習慣が出そうになったら言い換えること、違いが見えたら話し合って交渉すること、一人で判断せずに第三者と振り返ること。この3つは、お見合いや仮交際の段階から始められます。
致命的な習慣に気づいたら、言い換える
例えば、直前に予定を変更されて残念に感じたとき。「また?いつもそうですよね」は責める言葉ですが、「楽しみにしていたので残念です。次は早めに分かると嬉しいです」と言い換えると、自分の気持ちと希望を伝える言葉になります。
言い換えのコツは、主語を「あなた」から「私」に移すことです。「あなたは〜しない」ではなく「私は〜だと嬉しい」。これだけで、相手を責める言葉が、自分の希望を差し出す言葉に変わります。
違いが見えたら「交渉する」
身につけたい習慣のうち、婚活で意識しておきたいのが「意見の違いについて交渉する」です。連絡の頻度も休日の過ごし方も、どちらかの正解に合わせるのではなく、二人の形を話し合って決めていきます。
交渉といっても、勝ち負けを決めるものではありません。お互いの欲求を出し合い、両方がある程度満たされる形を探す作業です。ズレが見えたときの具体的な話し合いの進め方は、交際中の価値観のズレとの向き合い方で順を追って紹介しています。
一人で判断しないために
相性の迷いは、渦中にいるほど一人では整理しにくいものです。グレースマリアージュ東京では、お見合いや交際で気になったことをLINE・メールでご相談いただけます。定期面談はスタンダードプランで毎月1回、ライトプランで2ヶ月に1回。面談の間に生まれた小さな迷いも、そのままにせず一緒に振り返ります。
お断りする場合の返事のやり取りも、当社が間に入ります。IBJのルールでも、お見合い後の返事や交際を終えるときの連絡は、担当カウンセラーを通して行うことになっています。
自分の欲求の傾向を数値で知る手段もあります。当社ではご入会の方への特典として、アチーブメント株式会社が提供する選択理論心理学にもとづく「欲求サーベイ」を、ご入会後に行います(入会金に含まれ、30分の無料カウンセリングでは行いません)。自分が何を大切にしているかを言葉にする手がかりの一つで、お相手との相性の良し悪しを判定するものではありません。内容は欲求サーベイのご案内でご紹介しています。
「この人とは合わないのかも」と感じたときほど、答えを急がず、どの場面で何を感じたのかを言葉にしてみてください。迷いの中身が見えると、続けるか終えるかも、自分で選びやすくなります。
よくあるご質問
相性の迷いを、一人で抱えない
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